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より進んだ市民参加に挑戦するまち、多様性を認め合い、支えあうまち武蔵野へ 住民投票条例案に賛成します

2021年11月28日
日本共産党武蔵野市委員会
日本共産党武蔵野市議団 

武蔵野市議会第4回定例会(11月19日~12月21日)に、武蔵野市住民投票条例案(以下、「条例案」という。)が提出されました。条例案は、外国籍の方を含む住民票を持つ18歳以上のすべての市民に投票権を認め、投票資格者総数の4分の1以上の署名によって住民投票を発議できる「常設型」と呼ばれるものです。

武蔵野市はホームページで「住民投票制度について話題が出たのが唐突ではないか?」「外国籍の人に参政権を与えると聞いたが本当か?」「条例が制定されると、特定の意図を持った外国籍の人が大量移住してくるのではないか?」等の疑問にていねいに回答しています。

条例案に対し、11月中頃から右翼団体が連日市内駅頭や市役所前、松下市長自宅付近にまで大音量で街宣を行い、市役所の業務に支障が出るなど、異常な事態が引き起こされています。これに対し、11月18日には市内在住の有識者のみなさんが「緊急声明」を発表しました。私たちも武蔵野市及び有識者のみなさんの見解に賛同するものです。

この間の条例案攻撃は、事実をねじ曲げている上に、外国人差別という看過しがたい問題点があります。そこで、11月13日に行われた「武蔵野市住民投票条例を考える緊急学習会」(以下、「緊急学習会」という。全篇がユーチューブで視聴できます)での講師らの発言をふまえ、日本共産党武蔵野市委員会・武蔵野市議団の見解を明らかにするものです。

第一に、今回の条例案が制定されれば、住民のイニシアチブで住民投票を実施でき、市民の意思表示の場をつくることができるようになります。

国の進める施策や、地方自治体で首長と議会が一緒になって推進する施策が、市民要求と乖離する事態は実際に起こっています。これに対して住民が声をあげる手段として、地方自治法に基いて住民投票の実施を求めることができますが、市民が請求した住民投票条例案を議会が否決すると、住民投票が実施されません。直近では今年1月、横浜市民19万人を超える署名で直接請求したカジノ誘致を問う住民投票条例案を、横浜市議会が否決したため、住民投票は行われませんでした。今回の条例案は、投票資格者総数の4分の1以上の署名が集まれば必ず住民投票が実施されることになります。

今回の条例案攻撃の背景に見えるのが「住民投票」制度そのものを敵視する立場です。「緊急学習会」の講師は、原発建設反対、新駅反対、米軍基地反対、自衛隊基地反対など、過去に住民投票が行われた全国各地の例をあげて、「国民投票が、正しいとは限らないんです。国民必ずしも賢人にあらず、愚民なんですよ」「イージスアショアは危ないとか、原発は危ないとか…愚民の世論に従わざるを得ないのが現実」と、住民投票制度そのものに悪罵を投げつけています。市民が生活に関わる問題で意思表示を行うことを侮蔑し敵視する思想は、民主主義を否定するものとして極めて重大です。

第二に、条例案が市内在住3カ月以上の外国籍の市民に住民投票権を認めていることは憲法に違反しないどころか、日本国憲法の精神に合致しています。 

1995年2月の最高裁判所判決は、永住外国人等に地方参政権を保障することは「憲法上禁止されているものではない」との判断を示しました。地方自治体の運営は、本来、すべての住民の参加によってすすめられるのが、憲法の定める地方自治の根本精神です。

しかも、日本国憲法第16条は「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し」と定めており、請願権は外国人にも保障されています。外国籍の市民が市政への意思表示を住民投票への参加で行えるようにすることは憲法の趣旨に合致しています。

条例案攻撃は、外国籍の方、とりわけアジア人差別を背景とした「外国人参政権」に対する攻撃でもあります。緊急学習会の講師は「なぜ常設型(の住民投票)にするのか…常設の方がはるかに外国人参政権に近いからなんですよ…それしか理由なんかない」「諸外国に対して謝りたくてしょうがない人たちがいる。どうしようもなく謝りたい。それと同じように、アジアの人たちに選挙権を与えたくてしょうがない日本人って大勢いる」「住民投票条例は…外国人参政権の一里塚」と主張しています。

日本共産党は、永住外国人を地方自治の担い手としてむかえ、日本国民と等しく参加する政治を実現することは現状に即しており、わが国の民主主義の成熟と発展につながると考えています。

しかし、今回問われているのは「住民投票」の投票権であり、選挙権・被選挙権とは分けて議論されるべきです。法的拘束力をもたないものの、住民投票の結果を尊重するとした条例案は、より進んだ市民参加に挑戦するまち、多様性を認め合い、支えあうまち武蔵野をめざす取り組みとして、日本国憲法の趣旨を十分ふまえたものだと考えます。

条例案については、市議会総務委員会で2021年2月に骨子案、8月に素案の行政報告があったほか、パブリックコメントや市民意見交換会、無作為抽出市民アンケート(2000人対象)などを行いながら検討されてきました。無作為抽出市民アンケートで、「外国籍市民も投票資格者に含めることに賛成する」という回答者は73.2%に上りました。それにも関わらず、自民党市議らが11月になって突然「拙速だ」と言い始め、「たかだか1カ月で」(11月14日 武蔵境駅 長島昭久衆院議員)などと主張していることは、事実に反するものです。なお、武蔵野市自治基本条例は昨年3月に市議会において全会一致で可決されています。

条例案攻撃の本質は、「住民投票」・「外国人地方参政権」への二つの敵視です。

日本共産党武蔵野市委員会と武蔵野市議団は、市民自治のまちづくりをさらに発展させる立場で、不当な攻撃をはね返し、幅広い市民のみなさんと力をあわせて条例案の成立のために力を尽くす決意です。

以上

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