武蔵野市議会は21日、保育職員の賃金と職員配置基準の大幅改善を国に求める意見書を、自民会派以外の賛成で可決しました。市内24の民間保育園中17人の園長が連名で要望していたものです。
 意見書は、保育が社会を支えるエッセンシャルワークだと認識された一方で、賃金は全産業平均と比較しても極めて低い水準だと指摘。市内の各保育園では国の配置基準の2倍前後の職員を配置しており、国が来年2月から当面3%(約9,000円)程度上乗せしても、各職員への支給額は半分以下になることが懸念されると強調。賃金を全産業並みに増額できる公定価格の引き上げと、実態に見合った職員配置基準の抜本的改定を求めています。
 議案提案した5市議のうち、筆頭提案者の本間まさよ議員(日本共産党)は「保育園職員の賃金大幅増と配置基準改善は待ったなしです。大勢の園長たちの思いが伝わり市議会を動かしました。次は国を動かしましょう」と語っています。
 市議会に要望書を提出した園長のひとりは「緊急の呼びかけに17人の園長が賛同し、連名で要請できたことは、保育園の実態がいかに厳しいのかを反映している。当園では国の配置基準の約2・0倍、同じ法人の別な保育園は2・1倍の職員を配置しています。実態に合わせて早急に改善してほしい」と話します。
(「しんぶん赤旗」2021年12月24日付より)


21日に採択された意見書は以下の通りです(武蔵野市議会ホームページより)

提 出 者
21番 本間まさよ
4番 桜井夏来
14番 藪原太郎
22番 山本ひとみ
24番 西園寺みきこ

保育士など保育職員の全産業平均並み賃金改善等を求める意見書

 コロナ禍の中で保育は医療従事者や福祉関係従事者と同じように、社会を支える大切なエッセンシャルワークであり、極めて公共性の高い仕事であることが改めて認識されました。「ステイホーム」が求められる中であっても保育は継続し、多くの保育園では単に「自粛」するのではなく、子どもたちの豊かな育ちのために様々な工夫を行い、子どもたちとつながってきました。
 しかし、そうした保育の仕事の重要性が評価される一方で、その処遇は低く、全産業平均賃金と比較しても極めて低いのが実態です。しかも国の配置基準が低いために、どの保育園でも基準の2倍近くの職員を配置して保育の質が低下しないようにしているのが現状です。
 こうした事情を背景に、岸田首相は2021年10月8日の施政方針演説で、「保育の受皿整備、幼保小連携の強化、学童保育制度の拡充や利用環境の整備など、子育て支援を促進します。子ども目線での行政の在り方を検討し、実現していきます。第三の柱は、看護、介護、保育などへの現場で働いている方々の収入を増やしていくことです。新型コロナ、そして、少子高齢化への対応の最前線にいる皆さんの収入を増やしていきます。そのために、公的価格評価検討委員会を設置し、公的価格の在り方を抜本的に見直します。」と述べています。
 このような方針の下で、2021年11月9日には公的価格評価検討委員会が開催され、検討が開始されました。この報道によれば、2022年2月から9月までは3%(9,000円)程度の上乗せ支給を行い、その後は「公的価格評価検討委員会」で見直しが図られるようです。
 当面の措置として、仮に3%(9,000円)程度の改善が行われたとしても、各保育園では職員配置基準よりも2倍前後の職員を雇用しており、実際の支給額はその半分以下になってしまうことが懸念されています。その背景には公定価格積算基礎の人件費単価と配置基準が現状よりもはるかに低いことがあります。
 ついては、国におかれては、下記のことを早急に改善するよう強く要望します。

1 保育者賃金を全産業平均並みに引き上げられるよう公定価格を改定してください。

2 保育園の職員配置基準を実態に見合うよう抜本的な改定をしてください。

以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

令和3年12月 日 武蔵野市議会議長 土屋 美恵子

内閣総理大臣・財務大臣・厚生労働大臣・内閣府特命担当大臣(少子化対策)宛て